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 第2回 「人生第2章」

 東京の大学を卒業し、縁もゆかりもないこの鹿児島へ来たのが平成七年の春。ちょうど鹿児島へ来てすぐ、あの「地下鉄サリン事件」が起こった。その場所が僕もよく知ったところだったので、とても驚いたことを覚えている。それから約六年が経った。

 何故鹿児島へ来たのかというと「走るため」にきた。「陸上をやるため」にきた。

 高校時代、陸上競技短距離でインターハイ・国体入賞という結果を残した僕は、東京の某私立大学へスポーツ推薦で入学した。陸上漬けの毎日だった。陸上が好きだったし、速く走ることが全てだと思っていた。

 その思いは大学卒業時にも変わることなく、そして僕は陸上部を持つある企業の誘いを受け鹿児島にきた。

 去年、その陸上部がなくなった。――

 突然だった。走ることが自分の全て、そう信じて疑わず、その道をまっすぐに進んできた僕にとって、あまりにも衝撃的な出来事だった。頭の中が真っ白になった。悲しかった。泣き喚いた。人を恨んだ。

 陸上をやめきれなかった僕は会社を辞め、そして独りで練習を続けた。でもそこには以前のような走ることに対する熱い思いは消えていた。「俺は何をやっているんだろう?」毎日グランドで呆然としていた。

 だが、ふとある時気がついた。他にも僕みたいな人間ってたくさんいるんじゃないか? スポーツやりたい、でも「場」がない「仲間」がいない。

 僕は大学・実業団と「場」「仲間」を与えてもらってきた。が、それは一部のエリート選手だけの話しであって、他の大部分のスポーツ大好き人間にはその「場」すら与えられない。

 「その場を作ろう」。そう思ったのが僕の人生第2章の始まりだった。

                         (SCC代表)