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 第10回 「三年先の稽古」

 相撲の世界に「3年先の稽古」という言葉があるそうだ。今日明日のことよりも、3年先にきちんと結果がでるようなそういうトレーニングをしなさいという意味らしい。

 今、僕は週に一度、陸上部の指導をするために伊敷中学校に行っている。しかし先日3年生がごそっといなくてなって寂しかった。市中学総体が終わり、ほとんどが引退してしまっていたから。

 中学部活動の在籍期間、実質2年。短い。改めて感じた。だから、相撲界の「3年先の稽古」という言葉を聞いた時「うらやましい」素直にそう思った。

 「2年+2年」。中学・高校での部の在籍期間。この間はそれこそ本来ならば3年先を見据えた基礎トレーニングが行われるべき時期なのだ。しかし、このシステムではそんな余裕などどこにもありやしない。

 高校陸上部に所属している子にこんなことを言われることがある。 「中学の時の自己記録が破れない」そんなバカなと思うかもしれないが、こんな選手ゴロゴロいる。もっとひどいのは大学。高校時代の自己記録を破れるものなんてほんの一握り。

 小・中・高・大学・実業団・マスターズ。日本のアマチュアスポーツのシステム。それぞれが独立している。縦のつながりが全くない。それぞれがそれぞれで目先の勝利を追っている。後は知らん顔。

 そして、日本のスポーツは今ぼろぼろだ。子供の体力低下、部活動離れ、企業スポーツの衰退、生活習慣病の増加、寝たきりのお年寄りの増加、高額な医療費を誰が負担するのか。

 今こそ、スポーツの世界に「ゆりかごから墓場まで」のシステムを導入すべき。小泉首相ではないけど、スポーツの世界もまさに「構造改革」の時期。  「3年先の稽古」いや、「10年先」「20年先」「死ぬまで」楽しいスポーツと関わっていけるシステムを作ろう。

                         (SCC代表)