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 第11回 「才能とは何か?」

 六月二十六・二十七日。雨が降ったかと思えば、からっと晴れたりというおかしな天気。僕は「鹿児島市中学校陸上競技大会」を観戦するため、県立鴨池陸上競技場にいた。

 中学生が熱戦を繰り広げているを見ながら、僕は14年前の自分のことを思い出していた。この「市中学校陸上競技大会」が僕の陸上100Mのデビュー戦だったのだ。福岡の中学三年生だった当時、僕は野球部に所属していた。ポジションはショート。打順は1番かクリーンアップ。脚は学校で1番速かった。ちなみに逃げ脚も1番速かった。それは今も変わらない。

 たまたま担任の先生が陸上部の顧問だった。「あんた脚速いから陸上の試合に出てみなさいよ。」 もちろんカケッコ大好きな僕は「でたい!」と即答。出場が決まった。

 ランパン(陸上のユニフォームでランニングパンツの略)が恥ずかしくてダボダボの水着で走った。そして出したタイムが「11秒4」。その先生も親もそしてもちろん自分自身もびっくり。そしてこれがきっかけとなり、僕は陸上競技短距離の道に進むことになる。

 自分の可能性なんてどんなところに潜んでいるのか本当に分からない。誰にも分からない。本人にも分からない。人生に「タラレバ」は禁物だというが、このことがなければ今頃僕は何をしていたのだろう。

 いろんなことにチャレンジしよう。そりゃぁ若いうちのほうがいいに決まっているが、歳をとってからでも構わない。本当に自分の才能なんてどんなところに潜んでいるのか分からないものだ。現に、国語大っ嫌いだった僕が、こうやって新聞にコラムを書いてしまっている。高校の時の国語の先生がこのことを知ったらさぞかしびっくりすることだろう。

 まだまだいろんなことにチャレンジしていきたい。とりあえずそうだな、スポーツばっかりやってきたから「クラリネット」あたりやってみようか。