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 第12回 「10秒02」

 十五日の日曜日。鴨池陸上競技場で行われた南日本小中陸上に、我がSCCの小学生軍団が出場したので、僕は朝早くに家を出て新聞には目を通さずにいた。

 昼過ぎだっただろうか。知り合いから「朝原さん、すごい記録だしましたねぇー。」と言われて知った。「10秒02」。ノルウェーのオスロで行われたゴールデンリーグ第3戦、ビスレーゲームズ男子百メートル決勝で朝原宣治選手(大阪ガス)が日本歴代2位の10秒02をマークして4位になった。

 また、岩手県の北上陸上競技場で行われた日本学生種目別選手権の女子100メートルにおいても二瓶秀子選手(福島大大学院)が11秒36の日本新記録を樹立したとのこと。

 いやいや、僕が何を言いたいのかというと、まず朝原選手。僕と同い年である(29歳)。そしてニ瓶選手においては僕より年上。しかもヒトヅマ。

 よく「短距離選手の寿命って何歳ぐらい?」と聞かれる。20代中盤ぐらいというのが今までの常識であった。しかし、世界も日本も今短距離選手の寿命は確実に伸びている。今度、世界選手権が開催されるが、男子100Mで決勝に残る選手の年齢に注目して欲しい。20代後半の選手がほとんどを占めることになるだろう。

 これは、スポーツ科学が進化したとかそういった理由もあるかもしれないが、何より「環境」だと僕は思う。外国では選手のプロ化が進み、陸上競技で生計を立てることができるようになってきた。日本においても、両選手は周囲のサポートにより陸上に打ち込める環境があると思われる。

 そう、長く競技を続けることのできる環境作り。これが選手の競技寿命を延ばし、レベルアップにつながっているということ。

 目先の強化よりも、長く続けることのできる環境を整えること。それが最終的には「強化」につながってくるのだ。