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 第2回 「一流の技術を教えること−未来への教室から−」

 カール・ルイス。陸上界のスーパースター。オリンピックで金メダル9個。今、さらっと書いたけど「オリンピック」で「金」メダル「9個」。とてつもなくすごい。

 その彼がアメリカの子供達を対象に陸上教室をやった様子が、過日NHKにて「未来への教室〜世界一の技術にふれよう〜」というタイトルで2回に分けて放送された。

 1回目は講話。勝つことよりも大切なことがある、努力する過程が大事なんだということ、そういった話。そして2回目が実技。いよいよ実技。ルイスは子供達にどうスプリントを教えるのだろう?

 SCCにも小・中学生がいる。だから、カール・ルイスが自身の世界一の技術をどう咀嚼して子供達に伝えるのか、子供達とはどのように接するのか、そして、そういう中からルイスの持っている技術的な何かを垣間見ることができるのではないかと、たいへん興味深々でテレビの前にかじりついていた。

 ところが、ルイスは子供達に何をさせたと思います?

 子供達は20人ぐらいいただろうか。まずそれぞれの子供達の特技をやらせた。笛を吹くものあり、テコンドーの型をやるものあり、詩を読むものあり。

 で、ルイスはこいう言ってのけた。「みんなそれぞれに何か才能があるんだ。自分のやりたいことでチャンスを掴むんだ。スポーツでもなんでもいい。」と。そして、それから簡単な陸上のトレーニングをやって終わった。

 ルイスが一流の技術をどう小学生に教えるか、そういった視点で番組を見ていた僕はあっけにとられた。

 しかし、「はっ」と思った。これがまぎれもないルイスの言いたいことだったんだと。彼自身、幼い頃はレースで1度も勝ったことがなかった。それで他のスポーツをやってみた。でも、陸上が好きで目標を置いて努力した。そしたら世界一になった。いろんなことにチャレンジしろと。その中で自分のやりたいことを自分でみつけろよと。

 大人達が子供のためにしてやれることって、決して一流の技術を教えてやることだけではない。子供達にいろんなチャンスを作ってあげること。これが今の日本にはかけていることかもしれない。