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 第4回 「『ウェートコントロール』と『減量信奉』」

  ゼロ戦・車・ウォークマン・パソコン・携帯etc…。日本人は「軽量化」大好き民族。そしてそれはスポーツの世界にもおいてもあてはまる。

 「減量」。いわゆるウェートコントロール。陸上競技においてのウェートコントロールとは自分の体重をコントロールすることで最高のパフォーマンスを引き出すがためにあるものである。階級制スポーツの減量とはまた意味が違ってくる。かくいう僕も体重の増減にはけっこう神経をとがらせていた。ウェートオーバーでは決していい走りはできないし、怪我にもつながるから。

 しかし過度の「減量信奉」。体重を落としさえすればいいパフォーマンスがうまれる。そこに単純に「=」を持ってくる傾向がある。自分のパフォーマンスを維持しながら体脂肪を減らす。これは本当に根気いることだし、栄養学の知識なしではできない。ところが「とにかく体重を減らさなければ」。そういう思いから食べるものも食べない、水も飲まない。本屋に行けば「リンゴダイエット」「海草ダイエット」だとかそういう本がずらっと並んでいる。スポーツ医学的に見てそういうダイエットがいいパフォーマンスを生むわけがない。ちょっと勉強すれば分かることだ。しかし、「減量信奉」に陥った選手に頭の中にはもう「体重を落とすこと」だけしかないのだ。

 そしてその先にに待っているもの。「摂食障害」。何故か男性では聞いたことがない。が、女性には多い。僕の周りでも減量信奉から拒食・過食を繰り返し、そしてそれが精神的な躁鬱というものにつながってしまった女性が何人もいる。

 確かに記録を追い求めていけば、ウェートコントロールは不可欠。しかしそこには何の知識もなしにただ「体重を落とすこと」だけに固執した異常な世界があるのも事実。

 過度の減量信奉が摂食障害へとつながり、精神的異常をきたし、そして女性においては無月経へとつながったりもする。記録を追い求める気持ちは分かる。が、その辺りは慎重に、本当に慎重にやっていただきたい。友人が躁鬱で苦しんでいるのをたくさん見てきた僕からのお願い。