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 第5回 「正しいウェートコントロールとは?」

   前回「ウェートコントロールと減量信奉」という題でコラムを書いた。過激なウェートコントロールがもたらす摂食障害・精神異常。「だったら正しいウェートコントロールとはどういうものだ?」と聞かれた。今回はその正しいウェートコントロールというものについて考えてみる。

 正直言うと、偉そうなことを言っておきながら、僕も以前かなり無理な減量をしたことがある。ひと冬で8キロぐらい落とした。とにかく絞ろうと思っていた。食べたものを嘔吐したこともある。

 見事に調子を崩した。全く走れなかった。それから普通に食事をし、当たり前の生活に戻した。徐々に体重が戻った。走れるようになり、血色も良くなった。

 この時「普通に」「当たり前に」ということの大事さに気がついた。

 そもそもスポーツというのは3つのことの繰り返し。練習をする。疲労物質が身体の中で発生する。それを取り除く。疲労物質を発生させるのが練習ならば、それを取り除くのもまた練習の一部。必要な食事を「食べない」または「嘔吐する」という行為は「疲労物質を取り除くための練習をしていない」ということであり、せっかくいい「疲労物質を発生させるための練習」をしても、それを台無しにしているということなのだ。

 しっかり練習をし、バランスのよい食事を摂り、きちんと睡眠をとる。そしてきちんと排泄する。練習+「快食」「快眠」「快便」。この3つが全ての生活の基本であり、結局ウェートコントロールとは、何を食べる何を食べないとかそういうレベルの話しではなく、生活全般そのものではないだろうか。そんな基本的なことに気がついてない選手・指導者は多い。

 とにかく、厳しいウェートコントロールによって「食べること」に罪悪感を持っている選手が多いと聞く。本当に「当たり前」のことなであるが、食べないことには強くならない。「規則正しい生活の中で、正しく食べる」これがまさにウェートコントロールというものなのだ。